ドストエフスキー

母なるラッセーユシカ

『ドストエフスキイ』ウオルィンスキイ 母なるラッセーユシカ 「たとえわたしが呪われていて、たとえ身分が低く卑劣であっても――とドミートリイ・カラマーゾフは自分のことを語っている――神様が身にまとっている袈裟の端に接吻させて下さい、そして同時に悪…

悪魔に憑かれた哲学者

『ドストエフスキイ』ウオルィンスキイ 悪魔に憑かれた哲学者 イワン・カラマーゾフが初めて読者の前に姿を現わしたのは、ゾシマ長老の庵に家族たちが集まった折のことである。大学で自然科学を学び、さらに学問のため外国行きを準備していた時、彼はとつぜ…

桜井誠と大衆の原像論

『ネット右翼亡国論』山崎行太郎 桜井誠と吉本隆明とドストエフスキー――「大衆の原像」論 吉本隆明の思想の一つに「大衆の原像」という思想があるが、私は、桜井誠について考える時、この「大衆の原像」ということを考えざるを得ない。つまり、ヘイトスピー…

圧制からの解放

『世俗宗教としてのナチズム』小岸昭 ところで、メラー・ファン・デン・ブルック監修になるドストエフスキー全集(全二二巻)は、敗戦前後のドイツの知識人に衝撃的とも言える影響を与えた。ドストエフスキーはほかならぬドイツにおいて派閥間の争いになり、…

ドストエフスキーへの傾倒

『世俗宗教としてのナチズム』小岸昭 年長の友人リヒャルト・フリスゲスがゲッベルスの世界観に与えた最も大きな影響は、大学生ゲッベルスにドストエフスキーを読むようにすすめたことだった。それによってゲッベルスは、一九一八年から一九年にかけての冬学…

第三帝国

『世俗宗教としてのナチズム』小岸昭 博覧強記をもって知られるドイツの哲学者でヒトラーの同時代者エルンスト・ブロッホは、次のようにその起源にまつわる問題に蘊蓄を傾けている。 「ナチどもは、第三帝国という用語を――これは忘れてはならないことだが――…

カラマーゾフの兄弟と第二次大戦

『ドストエフスキイ』ウオルィンスキイ カラマーゾフの王国 事実、カチェリーナの電報でモスクワから戻ったイワンは、いろいろと予想していたにもかかわらず、事態の真相を全く理解することができない。彼は殺害者はドミートリイだと考える。「俺が殺したと…

ロシアに住むユダヤ人

『永遠のドストエフスキー』中村健之助 自分はロシアに住むユダヤ人が居住区その他の点で虐げられているとは思わない。二三〇〇万のロシアのナロードのほうが苦しんでいる。むかしからユダヤ人は金貸し業でナロードを思う存分だましてきた。ユダヤ人はアメリ…

高原の星空

『本居宣長(上)』小林秀雄 新潮文庫 「源氏物語」、特にその「後篇たる宇治十帖の如きは、形式も描写も心理の洞察も、欧洲近代の小説に酷似し、千年前の日本にこういう作品の現われたことは、世界文学史の上に於て驚嘆すべきことである」。これは、昭和九年…