キリスト者の自由

『ルター 世界の名著23』松田智雄 編

 キリスト者の自由

 第一 キリスト者とは何であるか、またキリストが彼のために確保して与えてくださった自由とはどんなものであるか。
 これについては聖パウロも多く書いているが、根本から分かるように、私は次の二つの原則をあげてみたい。

  キリスト者はすべてのものの上に立つ自由な主人であって、だれにも従属していない。
  キリスト者はすべてのものに奉仕する僕であって、だれにも従属している。

 この二つの原則は、聖パウロの次の言から明らかである。第一コリント書九章(一九節)「わたしは、すべての人に対して自由であるが、できるだけ多くの人を得るために、みずから進んですべての人の奴隷になった」。ローマ書一三章(八節)「たがいに愛することのほか、だれにも何も借りなさるな」
 ところで愛とは、その愛する者に奉仕し、また従うものである。だからキリストについても、ガラテア書四章(四節)に、「神はみ子をつかわし、女から生まれさせ、律法に従わせられた」とある。(p52)