奴隷的意志

『ルター 世界の名著23』松田智雄 編

 奴隷的意志

 教皇神学者たちが、あるいは少なくとも彼らの父であるペトルス・ロンバルドゥスが教えていることのほうが、これよりははるかに我慢のできるものだ。彼らは、自由意志とは識別の能力であり、次に、選択の能力であって、その選択の能力も、もし恩恵が臨在すれば善を選択し、反対に、恩恵を欠けば悪を選択する能力である、と言っており、アウグスティヌスとともに、明らかに、自由意志は、自発的な力では堕落すること以外はなしえず、「罪を犯す以外のことには役立たない」と考えているのである。それゆえに、アウグスティヌスも『ユリアヌスを駁す』第二巻で、「自由というよりは奴隷というべき意志」と言ったのである。(p194)