憲法を改正する気はない

『この世界を知るための教養』佐藤優 田原総一朗 責任編集

 田原 トランプは「アメリカは世界の警察をやめる」と言いました。そこで日米安全保障体制や日米同盟は、どう変わるのか、あるいは変わらないのか?
 アメリカは、東西冷戦が終わりソ連から極東を守る必要がなくなると、世界各地で民族紛争や宗教紛争が噴出してくるのを見越して、「集団的自衛権を行使しないことが日米同盟の障害になっている。何とかせよ」と、アーミテージあたりを通じて繰り返し伝えてきました。そこで15年7月、安倍晋三内閣は集団的自衛権の行使容認を決めた。
 僕は安倍さんに会って「衆院で自公の議席が3分の2を超えていたところに、16年7月の参院選で3分の2を取った。いよいよ憲法改正ですか?」と聞いたんです。すると安倍さんは、「実は大きな声ではいえないけど、憲法を改正する必要はないんです」といった。やいのやいのと以前はうるさかったが、集団的自衛権を容認したら、アメリカはまったく文句をいわなくなった。だから急ぐ必要はないというんです。
 とはいえ、日本の国家安全保障はアメリカ頼みで、矛盾だらけ。(p28)