性的マイノリティ

オリバー・ストーン オン プーチンオリバー・ストーン

 「……そして性的マイノリティについて。ソビエト時代には同性愛者は刑事責任を問われていたが、現在はそんなものはない。刑法のその部分は一九九〇年代に削除された。一方アメリカには同性愛者に刑事責任を問う州が四つあり、そこでは州法に同性愛者が犯罪者であると書かれていたと思う。たしかテキサスのほか、あと三州あったはずだ。最近ようやく連邦最高裁判所で、LGBT(性的マイノリティ)に刑事責任を問うべきではないとする判断が採択された。だが私の知るかぎり、こうした規制は各州の管轄であるため、最高裁の判断がどういう結果につながるかはまだわからない。司法手続きが最終的にどのような結果につながるのか、私にはわからないね。
 なぜロシアに対してこのような批判が持ち上がったのか? きっかけは議会が未成年者に対して同性愛に関する宣伝活動を行うことを禁止する法律を採択したことだ。だが宗教あるいは性別を理由とする差別は存在しない。またロシアのLGBTコミュニティは恵まれた仕事に就いている。その能力に対して公的な表彰も受けている。彼らに対する差別は一切行われていない。新たな法律の目的は、成長過程にある子供達を保護し、自らの性的志向についての意思決定を大人になってからさせることだ。子供達をそっとしておくよう求めているだけだ。子供達には成長し、大人になるまで猶予を与えようではないか、と。その時点では一切の差別はない。
 だからアメリカからの批判を聞いて、私は心底驚いたよ。なぜならあちらには同性愛者に刑事責任を科すような法律が存在するのだからね。これもロシアを攻撃するための手段の一つだと私は考えている。ロシアは他の国とは違う、だから他とは異なる手段や圧力をかけなければならないと主張するための方便だ。それはなぜなのか。答えは単純で、すでにあなたにも話したとおりだ。民主主義やLGBTコミュニティの権利や報道の自由などとは一切かかわりのない問題、つまり地政学的問題や政治の領域においてロシアに言うことをきかせたいからだ。
 しかしそれはわが国に対する侵犯であり、正当なやり方ではない。バランスの取れた判断に至る唯一の道は、互いの利益にしかるべき配慮をしたうえで、対等な立場で対話することだ。私は単に空疎な言葉、お題目を並べ立てているわけではない。これはロシアの政府、国家、国民の利益にかかわる問題だ。経済危機、安全保障、個人の権利といった問題の解決はそこにかかっている。ロシア連邦の国民にとって重要なことだ」(p163)