虐殺記念館の偽写真

オバマ大統領は黒人か』高山正之

 第一次大戦さなか英豪華船ルシタニア号がUボートの魚雷で撃沈された。
 約千二百人の犠牲者の一割は中立の米国人市民だったが、その世論を一気に参戦に傾けたのは仏写真誌の載せた一葉の写真だった。
 それはベルリンの王宮前広場で「ルシタニア号沈没を祝って歓喜の声を上げる独市民」の姿だった。
 大戦後、米国は改めてルシタニア号撃沈の事実関係を検証したが、それで仏誌に載った歓喜の集会写真は大戦前の春のお祭りのものだったと判明した。
 なるほどよく見れば市民は冬の服装だった。
 米議会に参戦を促がすために米英仏が協力してでっち上げたプロパガンダだったわけだ。
 アーサー・ポンソンビーは『戦時の嘘』の中で手軽で効果的なプロパガンダは写真の利用だと語っている。
 例えばこの大戦中に英 Daily News 紙に「窮迫する独市民」と題して、くたびれた身なりの人々が並んで食べ物の配給を受けている写真が掲載された。
 敵の惨状を見て憂さも晴れる、もうひと押しだと戦意も高揚するが、本当はベルリンの新聞が載せた「仏露の捕虜にスープを支給」する写真だった。
 「ルシタニア号の沈没を喜ぶ独市民」のように関係ない写真に勝手な説明をつける方法も多用された。…
 これと同じことを蔣介石や彼を操った米国もやっていた。
 例えばライフ誌に載った「爆撃跡で泣く幼児」の写真。駅舎の残骸を背景にホームに一人座って泣いている一歳児の写真だ。
 中国のどの抗日記念館にも南京大虐殺の一場面として必ず展示しているが、まず場所が違う。現場は蔣介石軍の武器集積地だった上海南停車場で、そこに米国籍をもつ写真家王小亭が幼児を連れてきて撮影したものだ。
 なぜ分るかといえばその撮影風景が米国の反日宣伝映画「バトル・オブ・チャイナ」にあるからだ。
 ちなみに王は反日キャンペーンを半世紀も張っているハースト系の通信社の上海支局長も兼ねていたことが東中野修道の『南京事件証拠写真」を検証する』で検証されている。
 そんな捏造写真が大手を振って一時は日本の教科書にも載っていた。
 写真説明を勝手に変える手法も中国人は得意だ。いい例がアサヒグラフ(昭和十二年十一月十日号)に載った「わが兵士に護られて野良仕事より日の丸村に帰る女性や子供たち」の写真。
 当時の中国は蔣介石軍と共産軍が競って村を襲い略奪と暴行を繰り返していた。日本軍が進出した地域でやっと村人に笑顔が戻っていた。
 この写真が中国人にかかると「江南の農村の女は一群一群、押送され凌辱、輪姦、銃殺された」(写真説明)。
 朝日新聞はこの悪用を抗議しないどころか、本多勝一は「婦女子を狩り集めて連行する日本兵たち。強姦や輪姦は七、八歳の幼女から七十歳を越えた老女にまで及んだ」と中国人の嘘をもっと膨らませた。
 こんな見え透いた嘘写真が中国では未だに国営の抗日記念館を飾り、日本では朝日・岩波文化人が自虐史観のいい史料として重宝し続けている。
 あまりではないかと南京戦を戦った老将兵らが朝日新聞に誤用された写真だけでも北京政府に撤去させろと訴えてきたが、もちろん聞く耳ももたない。(p199)