白人は「嘘八百」でも足りない

オバマ大統領は黒人か』高山正之

 第一次大戦の折、ベルギーに侵攻したドイツ軍は子供たちを見つけては両手首を切断している、と英米の新聞は報じた。
 今は鉄砲の時代だ。指二本を切ったところで残りの指があれば撃鉄を起こし引き金を引ける。
 だからドイツ軍はベルギーの子供の両手を切っておけば将来にわたって有効な戦力にならないと考えたと百年戦争の歴史を持つ彼らは理解した。
 それにしても子供までやるとは、と飛び抜けたドイツ人の残忍性に怒りを覚えた。
 しかしドイツ兵は子供どころか赤ん坊も殺していると新聞は伝えた。
 彼らは産院を襲い、看護婦を暴行したうえ生後間もない赤ん坊を放り上げて銃剣で刺したという。
 ブリュッセル郊外ではドイツ兵が家族を皆殺しにし、最後に「死んだ母親に抱かれた赤ん坊を刺し殺す寸前に味方軍が助けた」と英デイリー・メールのウィルソン記者が伝えた。
 かくてドイツ軍の蛮行をこれ以上許さないと米国が参戦して大戦は終わる。
 戦後、ドイツがいかに残虐だったかの検証が行われた。しかし、手首を切り落とされた子供は一人もみつからなかった。
 ウィルソン記者の記事もでっち上げだった。彼はニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに「本社からドイツ軍の残忍さを語る記事を送れと電報が来た。それでドイツ兵の手にかかる寸前に助けられた赤ん坊の話を創作した」(アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』)と嘘を認めた。
 それから二十年。いわゆる南京大虐殺が起きる。そこで展開されたという惨劇は日本人の知らない「子供を放り上げて刺す」「手足を切る」「女を犯して局所に棒を突っ込んで殺す」方法だった。
 そのほとんどは白人が長年馴染んだ手法に加え中国流もかなり入っている。
 しかし戦後になってもその真偽を確かめる検証はなぜか行われなかった。
 残虐話の多くはマンチェスター・ガーディアン紙のティンパーリ記者が執筆したものだ。彼は皇室を中傷する『プリンセス・マサコ』を書いたベン・ヒルズや「日本軍は東ティモールの島民数万人を殺した」という嘘を広めた外交官ジム・ダンと同じオーストラリア人。
 彼は蔣介石政府の「国際宣伝処長の曾虚白と接触して」(阿羅健一『南京で本当は何が起こったのか』)カネをもらって南京事件を創作した一人ということまでは日本側で明らかにした。
 かなり怪し気なのに米国も中国もオーストラリアもそれ以上は検証しようともしないで日本を苛立たせてきた。
 そんな中、朝日新聞が英エコノミスト誌の元編集長ビル・エモットを起用してコラムを書かせ始めた。
 その中身が酷い。彼は何の疑問もなしに南京大虐殺を史実と決め付ける。
 自国の新聞の記者が係わり、日本に不名誉をもたらしている問題を論ずるなら、まして本人がジャーナリストのつもりなら、まず事実を検証するだろう。(p146)