「天然だから安心」の大きな嘘

合成洗剤買わない主義使わない宣言』坂下栄

 台所用合成洗剤に関して、ある時代からにわかに、「地球にやさしい」「環境に安全」「天然だから安心」といったキャッチコピーがテレビのCMからやたらに流されるようになりました。もちろんこうしたキャッチコピーを現在も使っている商品はたくさんあるわけですが、皆さんは、メーカーがなぜこうしたPRを盛んに行ってきたのかおわかりでしょうか。
 答えは実に簡単です。オゾン層破壊、森林破壊、野生生物の減少、種の絶滅など、環境への危機意識が地球的規模で高まりはじめた時代になったからです。
 石けんは、天然油脂からしか作ることができませんから、環境破壊につながることはありません。そうなれば、まず真っ先に矢面に立って告発されそうなのが合成洗剤。メーカーとしては矛先をかわす必要があったのです。
 そこで前記のようなキャッチコピーが氾濫するようになったわけですが、実際、そのコピーを信用して商品を買った消費者も多いのではないでしょうか。
 しかし、これもメーカーの大きな嘘の一つで、天然モノの裏には大きなカラクリが隠されていたのです。
 それまでの合成洗剤は、石油から合成した合成界面活性剤を使ってきました。しかし、これらの商品は、すべて天然油脂から作った合成界面活性剤を使っているので安全だというのがメーカー側の論理です。その論理は、あたかもそれが「石けん」に近いもののような印象を与えます。このことは「石けんが安全である」ことを認めていることにほかなりません。しかし、実態は全然違います。
 実態は、天然油脂アルコールに石油合成のガス(ポリオキシエチレン)を反応させたり、あるいは濃硫酸を反応させたりして合成界面活性剤を人工的に作り出しているにすぎません。
 つまり石油から作られる合成界面活性剤とほとんど同じ分子構造の化学物質を作り、それをもって「天然モノ」とPRしているにすぎないということなのです。
 これは化学的なカラクリなので、一般消費者にはなかなか目が届かないところです。しかし目が届かないところがメーカー側には実に都合のいいところで、ごまかしが横行するゆえんでもあるのです。このカラクリを見破る方法は、台所用合成洗剤の成分表示欄を必ずチェックしてみることです。
 もし、「アルキル・硫酸エステル・ナトリウム」「ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル・硫酸エステル・ナトリウム」「ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル」などというややこしい名前が書かれているようなら、それはまぎれもなく化学合成された合成界面活性剤が配合されていると考えるべきです。決して天然モノでもなければ石けんでもないということです。石けんならば成分表示欄には、「脂肪酸ナトリウム」または「脂肪酸カリウム」としか書かれていないはずです。(p159)