有機栽培で育った健康なお茶

『21世紀の子どもたちと地球のためにお母さんができること』坂下栄

 何年か経って、完全に農薬を使わないで生産されるようになったお茶を、農薬を使って作ったほかのお茶と比べてみました。味の違いを感じていたので、味の違いは植物の構造の差としても現れるのではないかと、茶葉の表面構造に差異はないか調べようと思ったのです。走査電子顕微鏡で観察すると、その差がはっきりとわかりました。(p165)


 AとBは、葉の上側表面です。Aは完全無農薬・有機農法のもの、Bは農薬を使用したものです。
 Aを見たとき、なんて生物は機能的に有効な構造をしているのだろうと、思わず感心してしまいました。その表面にはみごとな多数の凹凸があって、いかにも太陽エネルギーを吸収しやすいような作りになっています。凹凸によって、表面積を大きくできる機能になっているのです。栄養を吸収する人間の小腸の凹凸の多さを連想させます。
 それに比べると、Bは凹凸やシワがルーズです。これでは太陽エネルギーの吸収がよくないだろうということが、形を見ただけで判断できます。葉緑素クロロフィルの合成も弱いでしょうし、お茶のうまみの素になるアミノ酸、とりわけテアニンの合成が弱いことを想像させます。(p165)


 葉の裏側の写真がCとDです。Cは無農薬・有機農法のもの、Dは農薬をいっぱい使って育ったものです。それぞれに気孔があります。……
 写真は同じ倍率で見たところですが、Dには二~三個の気孔が見えますが、Cは一個しか撮れていません。一個分がより大きく育っているため、写真に多くは写り切らなかったのです。気孔の周囲にある孔辺細胞も、Cはきちっとした盛り上がりがわかるのに、Dは背が低く、小さなものです。これを見比べただけでも、葉と木の健康の度合いがわかります。
 しかし、不思議なことに、こんなに農薬の影響があっても、お茶の木は生きているのです。(p165)

 

f:id:nyatarochan:20180907203603j:plain

A ちいさな凹凸が密集して、表面積を広くしている

 

f:id:nyatarochan:20180907203849j:plain

B 凹凸はルーズになり、表面積が少なくなっている

 

f:id:nyatarochan:20180907203909j:plain

C 大きな形の整った気孔。周囲の細胞も大きく、形もしっかり保っている

 

f:id:nyatarochan:20180907203922j:plain

D 気孔は小さく、口を閉ざしている。周囲の細胞も背が低く、小さい