カリスマ的な大型動物相

生物多様性〈喪失〉の真実』ジョン・H・ヴァンダーミーア イヴェット・ペルフェクト

 生物多様性のうちでも特定のものばかりに格別の関心が集中している。ゾウなどの「カリスマ的な大型動物相」以外の生物が一般大衆の想像を喚起することは、ほとんどない。アメリカで保護活動家たちが、スネール・ダーターという魚の絶滅を懸念する声を上げたときは嘲笑を浴びたものだが、アフリカゾウが絶滅する可能性を軽視しようとする者は誰もいない。こうして、カリスマ的な動物相にスポットライトを当てれば、生物多様性喪失に関連した問題に無関心な大衆の注意を引きつける役に立つ、と主張する人々の考えには一応賛成だ。だが、こうしたスポットライトの当て方には問題がある。まずはカリスマ的な動物相への懸念から説き起こし、最終的にはきちんと他の動物相への懸念へも視点を向けている内容のものは、保護を論じている有名な文献の中にはまず見当たらないからだ――それどころか、実際には正反対の実例に事欠かないと言っていい。せっかくの政治的エネルギーを、すべてこうした生きものにばかり集中してしまうと、世界の他の生物多様性についての懸念のために使えるエネルギーがほとんど残らなくなってしまうのではなかろうか。(p208)