モンサントの歴史

モンサント』マリー=モニク・ロバン

 そして、インターネットで調べたかぎり、この会社は嘘で塗り固められているように思われた。実際、モンサント社のホームページを開くと、この企業は「農業関連企業」を自称しており、その目的は「世界中の農業生産者たちが、より健全な食品を生産することを助け〔……〕自然環境に対する農業の影響を減らすことにある」と書かれている。しかし、ホームページに書かれていない事実がある。それは、農業に関心を向ける以前には、この企業が二〇世紀中もっとも巨大な化学企業の一つであり、とりわけプラスチックやポリエステルなどの化学繊維を主として生産していたことである。「私たちは何者なのか/会社の歴史」という見出しのページでは、数十年にわたってこの企業の主要商品だった猛烈な有毒物質について、ただの一言さえ触れられていない。その有毒物質とは、すなわちPCB(ポリ塩化ビフェニル)である。この物質は、かつて変圧器の絶縁体として使用された脂溶性化学物質で、合衆国では「アロクロール」、フランスでは「ピラレーヌ」、ドイツでは「クロフェン」という商品名で、ほぼ五〇年間にわたって販売された。モンサント社は、一九八〇年代に生産禁止になるまで、この物質の有毒性を隠してきたのである。さらに、ダイオキシンを含む強力な除草剤である「2,4,5-T」がある。これは、ベトナム戦争アメリカ軍が枯葉剤として使用した、オレンジ剤の主成分である。モンサント社はこの物質の有毒性を、科学データを捏造して巧みに否定した。また、「2,4-D」(オレンジ剤の別の主成分)、あるいは現在は使用禁止されている「DDT」(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)も、モンサント社が生産している。さらに、人体への有害性が指摘されている「アスパルテーム」(人工甘味料)も、乳牛や肉牛の成長促進ホルモン(人間や動物の健康に危険を及ぼす可能性があるため、ヨーロッパでは使用が禁止されている)も、モンサント社の商品なのだ。
 激しい議論を引き起こした多くの製品が、モンサントの公式の歴史から、すっかり消えてしまっている(乳牛の成長促進ホルモンは例外。これについても、本書で取り上げる)。モンサント社の内部文書をよく調べれば、この企業の過去のいかがわしい歴史が、現在の活動にも影響を与えつづけていることがわかる。というのも、この会社は、次々と起こる訴訟にそなえて、つねに巨額の貯蓄を強いられているからである。(p14)