農産物の安値での輸出

『なぜ遺伝子組み換え作物に反対なのか』ジャック・テスタール

 余剰となった食糧が途上国へ安値で輸出されたため、途上国の食糧農産物の栽培は、大きなダメージを受けた〔ヨーロッパでは、公的補助金の支給によって農産物の生産が刺激され、供給過多になった。過剰になったヨーロッパの農産物は、途上国に安値で輸出された。この仕組みにより、とくに途上国の農村部の小規模農家は大きな打撃を受けた。彼らの一部は農業をやめて都市部のスラム街になだれ込むか、経済移民となってヨーロッパに現われた〕。すでに一部の国の農業モデルは、GM作物を栽培するようになって以来、大量の化学製品に依存するようになってしまった。
 歴史家たちによると、種子や化学製品の製造販売会社が期待していた以上に儲かったのは、遺伝学の進歩というイデオロギーが、生産至上主義的で画一的なものだったからだという。こうしたイデオロギーに影響されたフランス国立農業研究所(INRA)は、品種改良を推進させるための農民と研究者との新たな関係構築よりも、遺伝子競争に乗り出したのである。(p37)