死んだ材料による規格品づくりの功罪

『鎮守の森』宮脇昭 新潮文庫

 近代とくに第二次大戦後、鉄やセメント、石油化学製品などのいわば死んだ材料を使い、化石燃料を主とするエネルギーを用いて私たちは繁栄への道を歩んできた。さらに現今では野菜、花卉など植物の栽培や動物の飼育まで、すべての管理をゼロか一かの最も単純な数学の原点に基礎を置くところのコンピューター的な方法で行なうのが主流になってきている。このような計量的思考法による画一的な生産が、戦後日本の発展に寄与してきたことは事実である。工業製品の生産は言うに及ばず、刹那的な効率を求める場合には規格品づくりが極めて有効なのだ。
 その流れのなかで、ふるさとの山を削り、谷を埋め、海を埋め立て、画一的な自然の開発、都市、産業立地、交通施設づくりが急速に進められてきた。そして自然は荒廃し続け、自然災害が大きな被害をもたらす結果となった。(p18)