乾燥スピードは二〇倍!

『奇跡の杉』船瀬俊介

 「一日で乾いちゃったんです……!」
 「愛工房」の乾燥スピードの速さに驚嘆したのは、当の伊藤さんだった。
 「なぜかわからないけど、乾燥がものすごく速い」
 そのスピードもケタ外れ。聞いた私もわが耳を疑った。
 乾燥にかかる時間が天日乾燥の約10~20分の1だったのだ。
 「杉板材(15mm)が自然乾燥では約一五~二〇日かかっていますが、それが『愛工房」では一日で乾いたんです」(伊藤さん)
 それこそアッという間に乾いていく。その奇跡的な乾燥速度こそ、まさに「愛工房」の衝撃の第三弾だ。

 なぜか、ものすごく速く乾く不思議
 だれもが耳を疑い、目をこする。「愛工房」の乾燥期間の短さに、業者は驚いて顔を上げ、異口同音に声を上げる。
 「エーッ! そんなに速く? ありえない!」
 中には「絶対ウソだ」「理論上ありえない」と頑として認めない人も多い。木材乾燥の常識は「高温ほど速く乾く」なのだ。言い換えると「低温度ほど遅く乾く」が”常識”。
 だから、その”常識”が頭にこびりついている彼らにとって45℃という超低温の「愛工房」は、長く時間がかかって当然なのだ。それが「一日で乾く」というから顔色が変わる。反発する。
 「なぜ、こんなに速く乾くのか?」
 伊藤さんは、見学の業者に追及される。
 「なぜって言われても、速く乾いちゃうんだからしょうがない」
 と、腕組みをし、首をかしげる。(p52)