なぜ木を乾かすのか?どう木は乾くのか?

『奇跡の杉』船瀬俊介

 まず重さを軽くする
 「木が乾く」とはどういうことか、ここで解説しておこう。
 まず、なぜ木を乾かす必要があるのか?
 樹木は成長のための水分をたっぷり含んでいる。しかし、伐採して用材として使うためには、その水分は不要である。もう成長はしないのだ。住宅や建築材料として第二の人生を送ってもらうには、水分が多すぎるのである。
 木材の専門事典は、木の水分について次のように説明している。
 「山から伐り出したばかりの木は、水を多量に含んでいる。水の量は、伐採の時間や樹種、育った場所などで違うが、木の乾燥重量と同じ、あるいはその倍もの水を含んでいる場合もある」(『木材なんでも小事典』講談社)
 つまり、乾燥した木材の重さが100㎏だとする。すると、山から切り出されたときは100~200㎏もの水分を含んでいることもありうるわけだ。
 水分たっぷりの木だと二倍の重さがあることになり、まず移送、運搬のコスト面からも問題だ。二倍もの重さの「ただの水」を運んでいることになってしまう。
 まずこの輸送をスムーズにするために乾燥が必要なのだ。完全乾燥すれば輸送コストは約2分の1になる計算だ。(p21)


 乾燥で腐る・カビる・狂うを防ぐ
 乾燥の必要性はそれだけではない。
 水を含んだままの状態が続くと、木材腐朽菌(以下、腐朽菌)が繁殖する。
 腐る。カビる。虫が食う。水分は、これら害虫、有害菌を養ってしまう。だから木材乾燥は、防腐、防虫、防菌のためにも絶対に必要となる。
 さらに、乾燥は木材の「狂い」を防ぐ目的がある。水分をたっぷり含んだ木材は乾燥すると微妙に縮む。反る。割れる。
 木材に含まれる水分の割合(%)を含水率という。建築用の木材の含水率は20%以下が望ましい。この基準含水率以下の木材を柱、根太(床板を支える横木)などに使用すれば、床下に腐敗、カビ、シロアリ被害などは発生しにくい。
 逆に水分じっとりの木材で建てると、床下の木材は腐朽菌、カビ、シロアリたちの”天国”となる。(p21)