逆転の発想

『樹と人に無駄な年輪はなかった』伊藤好則

 でもそれは当たり前だと思うのです。人間がわかっていることなんて、ほんのわずかなこと。基本的に科学は人間の都合で考えているものですから、すべてを解明するなんてできるわけがないのです。
 だから、科学的に証明されていること、流れてくる情報というものを、安易に受け止めるだけでなく、本当にそれだけなのかといった眼を持つ必要があるように思います。それが、常識に惑わされない”柔軟な発想”につながるのではないでしょうか。
 必要なのは、「逆転の発想」です。ただし、ここでいう「逆」は、A論の逆にB論で考えるということではありません。
 私がいうところの「逆転の発想」の基準とは、「生命」にあります。生命を基準にすれば、まず間違いはありません。このことに気づいたきっかけは第6章で述べたいと思います。
 われわれ人間は頭脳を持っているだけで、他の生き物となんら変わりないのです。
 しかし、授かった頭脳を使って、他者(人間も含めたあらゆる生き物たち)を裏切ってしまうこともある。自分の都合で一方的に押し付けてしまうこともある。
 それをやめよう。生命あるものをもっと尊重しよう――。
 そう考えたとき、今まで見えてこなかったものが見えてくると思うのです。つまり、他者の立場になって考えること。それが「逆転の発想」だと思っています。(p77)