コストは従来の半分以下

『図解これならできる 山を育てる道づくり』大内正伸 田邊由喜男 監修

 四万十式の作設コストは安い。従来の半分以下である。なぜそうなのか。箇条書きで上げてみよう。

・測量なし、図面なし。
・現場打ちコンクリートなし、ヒューム管などの二次製品なし(現地素材利用)
・路面にジャリや砕石も敷かない
・人員は二人でできる
・最小限の土工
・残土がでない(残土捨ての手間ゼロ)
・丸太組みは最小限
・一回で使い捨ての道でなく、半永久に使える道

 コンクリートや二次製品はその材料代だけでなく、現地までの運搬費、そして施工図面が必要になり、どうしても全体の金額が跳ね上がる。たとえば蛇籠(のり面補強用)をちょっと使うだけでも、一〇〇万円くらいはすぐにかかってしまう。路面に敷くジャリや砕石自体は安いが、運送費でやはり一m当たりの単価は一〇〇〇円は高くなってしまう。
 のり面に関しては根株と後述する表土ブロック工法を用いれば既製の構造物は不要だし、路面についてはたとえ土質が悪くても、心土をかぶせて転圧し、現地の石を利用、排水をうまく考えてやれば克服できる。(p23)


 残土捨ての手間がないことも大きい。たとえば和歌山県のある例では、四万十式以前は切土高三mの道で、残土処理にダンプ一台と運転作業員が必要であった。残土が余ってしまい、他所へ捨てに行ったのである。このときの作設行程は二〇m/日だった。ところが四万十式を導入すると、切土が低くなりその土は盛土に転用するので残土は出ない。ダンプ人員も必要なくなり、結果五〇m/日の工程になったという。(p24)


 また、作業道と架線集材の作設単価を比較してみると、四万十式の作設単価は一五〇〇~二〇〇〇円/m。一haあたり二〇〇mの路網をつくろうとすると三〇~四〇万円でできる。これに対し、架線集材の場合、五haの伐採で五〇〇mスパンのエンドレスタイラー式架線および集成機の架設・撤去費用は、一ha換算で同じく三〇万円である。
 作業道を半永久的に使えるとしたら、今の時代どちらが得だろうか? 架線集材は熟練を要するが、作業道と車両系システムは誰でも集材可能という利点がある。
 「皆伐一発勝負であとは知らない、ではなく、循環してぐるぐる回したほうがいい。大きくなる林業機械とは逆に、小さな精鋭チームがたくさんいて、その雇用が長く続く林業がいい」と、田邊さんはいう。同感である。(p24)