誘導伐

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 前述したように、日本の山はよほど標高が高いなど特別な条件がないかぎり、木は自然に生えてくる。そしてそれぞれが競い合い、勢力の強い木が上層植生を形成するが、その下で台頭してくる木があり、勢力を強めて上層木と入れ替わっていく。
 こうした植生遷移のスピードや最終的な形態は、その山の自然条件に左右される。しかし人為的に早めたり、目的の樹種を残したりしていくことは可能である。「誘導伐」というやり方である。
 ケヤキなどは自然条件ではなかなか育ちにくい樹種だが、こうした木が残るように誘導してやる。シイやカシ、ナラ、クスノキ、あるいは山の幸のクリやクルミなど、これはと思うものを小さい幼樹のうちからマークし、その生育を助けてやるのである。助けるといっても施肥などしない。管理の基本は次の三つだ。

 ①ツル切り……木にからんだり、覆いかぶさるツル植物を除く
 ②刈り出し……大きく育てたい木の周囲の木を伐って、光があたる環境をつくる
 ③除伐……不要な木、生長の悪い木を伐採する

 自然に生育する樹種は元来その土地に適合したものである。その中から目的の樹木を選別していくことは、適地適木を育てることになる。(p112)


 クズやササ、タケは徹底駆逐
 この間、伐採跡地で必要なのは、クズなどのツル性植物や、ササ、タケの整理である。これらが繁茂すると萌芽や天然下種による芽ばえが困難となり、樹木が育たない。(p114)