玉切り、集積もやらない

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 伐り置きした間伐材は無駄どころか、実は山づくりのうえでは大きな効力をもたらす。
 一つには、下層植生の回復に大きな役目を果たす。枝をつけたまま伐り倒した木は転がりにくく、縦横にガッシリ噛み合って動かない。これがまず自然の土留め効果となる。そこへ、強度の間伐をしたおかげで広くそそがれるようになった太陽光が、草本類を芽生えさせる。一年目から林床の植生の回復が見られるのである。そうして四~五年もすれば、繁った下層植生で伐り置いた間伐材が見えなくなる。これらの根もしっかり土をつかみ、間伐材土留め効果とあわせて、三十五~四〇度の急傾斜地でも表土の流出は起こらない。(p50)


 玉切り、集積もやらない
 玉切りや枝払い、集積をしないと、次の間伐や枝打ちのときに邪魔になるのでは、という人がいるかもしれない。実はその心配も無用だ。前述のとおりこの方式なら、一度間伐すれば次の間伐まで一〇年は手をかけずに済む。歩きづらい時期に林内に入る必要がないのだ。その間に間伐材は昆虫や微生物などに分解されて朽ち果てている。次の間伐・枝打ち作業で支障があるとすれば、それは間伐材でなく、旺盛に生長した下層植生ということになる。
 ただし、次の二つ、
 ①沢に倒れた木は、豪雨で流量が増加したときでも流されない場所に片付ける
 ②林道や作業路に倒れた木は、人や車の通行の邪魔にならないように整理する
このことだけは守るべきである。(p53)


 むしろ、短く切った丸太が転げ落ちて道路を直撃したり、沢の近くに集積した丸太が豪雨で流れてダム湖を埋めるなど、玉切り集積の悪影響も多く指摘されている。(p54)