無理に間伐材にこだわらない

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 間伐材の「需要拡大」が謳われて久しいものの、需要は大きく盛り上がってこない。その理由は、建築用材としての用途が限られているからである。せいぜい柱材ぐらいにしか使われない。その割には搬出にコストがかかるために価格も安くならない。なおのこと、需要にブレーキがかかってしまう。
 生産コストを下げるための林道整備や搬出機械への補助が行なわれ、木材生産基盤の整備には一定の効果を現しているが、必ずしも山主の気持ちを奮い立たせるものにはなっていない。
 また間伐材を出しただけで1㎥当たり何千円かの補助金を出す制度が全国各地で展開されているが、一部で補助金目的に根曲がりや病虫害で腐りの入った木材が出されるなどして、市場で間伐材の評価を下げる結果を招いている。
 いずれも間伐材を使おう、使わせよう…という無理が、たたっているのである。何が何でも「間伐材は使わなければならない」のだろうか。
 私はそうではないと考えている。というよりもこれからの山づくりは、「間伐材も最終伐期材も」といういき方から「最終伐期材だけ」とする方向に転換していく必要があると思っている。畑でいえば間引き菜的な木材(つまり間伐材だ)まで無理して売らず、最後までおいて太らせた木材だけ収穫する、そういう山づくりへの転換である。
 もちろん採算の合う間伐材の搬出が可能な人工林まですべてとはいわない。どうにも手が回らない、かりに回ったにしても大した儲けにならず、手間賃も出ないようなところまで無理して間伐材にこだわらなくてもよいのでは?ということである。そうすることで、将来に負担を残さず、気楽に森と暮らす林業スタイルがつくられるのではないかと考えている。(p49)