間伐できない線香林

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 現在わが国には「限界成立本数」に限りなく近付いた人工林が少なくない。枝の枯れ上がった、幹の細長い木ばかりがびっしり並ぶ間伐手遅れの林である。”線香林”などといわれるこうした林の平均形状比は、九〇~一〇〇以上の場合もある。
 こうした線香林にいきなり強い間伐を行なうと、風雪時に広く開いた空間に向かって木がなぎ倒され、全滅する危険がある。かといってそのまま放置すればさらに形状比は悪化し、これまた風雪害を受けやすくなるのである。
 こうしたお手上げ状態の林に対しては、いきなり強く間伐せず二~三年の短いスパンで弱い間伐をくり返し、少しずつ残す木の形状比を改善していくしかないが、五年に一度のふつうの間伐さえむずかしい現実のなかで、二~三年に一度の間伐などできた話ではない。事実、多くの人工林はそうやって放置され、所有者はその将来をあきらめている。そんな山が全国で数百万haにも及ぶのである。
 しかしそんなお手上げ状態の林も価値の高い経済林に回復できる方法がある。間伐対象木を伐り倒さずに、立たしたまま枯らす「巻枯らし間伐」というやり方である。(p42)