形状比七〇の発見

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 昭和五十五年十二月下旬から翌五十六年一月の中旬にかけて北陸地方を襲った雪は、福井県を中心にかつてない森林被害をもたらした。スギやヒノキが重い雪のために次々と折れ、多くの山が卒塔婆の立つ墓場のような惨状を呈した。被害額は県内だけでも二〇〇億円を超えた。(p28)


 樹木の形態を表す指数に「形状比」がある。樹の〈高さ〉を〈太さ〉で割った比率で、この数値が小さければ樹高に対して幹が太い「ずんぐり型」に、数値が大きいと細長い「線香型」の木になる。調査で確認できた被害率が低いスギ・ヒノキの林は、この形状比が七〇より小さい林分で、これより大きくなると被害率は五〇%を超える。形状比七〇前後を境に、大きな違いが見られたのである(福井県総合グリーンセンター林業試験場の分析)。(p29)


 こうした木が揃う林分では、下層植生が豊かなことも特徴的だった。下層植生が豊かな森には土壌動物や微生物が多く居着いて地力が養われる。よりいっそう根張りが促され、木はさらにがっしり育つことになる。加えて下層植生は雨が直接地表面を叩く緩衝帯にもなり、表土の流出を防ぐ。治山・治水の機能はこの下層植生の存在にかかっているとさえいわれる。(p29)


 木は上へいくほど細くなる。どの部分をとって「太さ」とするかだが、「形状比」を出すときは胸高直径を基準にする。つまり地上高一・二mの木の直径をはかって計算する。(p30)


 形状比を出す
 樹高と胸高直径が出たら「長さ÷太さ」で形状比を出してみる。たとえば、樹高一四m、胸高直径二〇㎝(〇・二m)のデータがとれたとすると、形状比は一四÷〇・二で七〇。この林分は健全、立木密度も適正な本数にあるということになる。(p65)