鋸谷式間伐で採れる太い丸太

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 かつて木が大変に必要とされた時代があり、細い木まで飛ぶように売れた時代があった。しかし時代は大きく変わり、多くの場所では、間伐材を搬出すれば赤字になってしまうのが現実だ。
 また、高級住宅素材として「床柱」や「桁丸太」などの磨き丸太や、節のない材や木目の詰まった材、見た目に美しい材が尊ばれたことがあった。しかしこれからの時代は、地球温暖化の防止のためにも、耐用年数の長い本物の木造構造物が求められている。
 太い材を用いて日本の在来工法を活かせば、三〇〇年もつ木造民家を建てることも可能だ。しかしたとえ長持ちしたとしても、時代時代のライフスタイルに合った間取りの変更が利かねば意味がない。それにはゆったりした構造的空間が必要で、長いスパンをとばせる大径木の梁や桁材が重要になってくる。
 大径材はいつの時代も価値あるものだ。製材のときに無駄が少なく、ありとあらゆる材が採れるし、心材の赤身の部分も大きく、木材としての耐久性にもたいへん優れている。(p22)


 鋸谷式間伐(密度管理)の最終目標は、人工林として樹齢八〇年以上、胸高直径で六〇㎝以上の木を育てることだ。……目標を最初から大径木にとらえていけば、環境的にもいい山がつくれるばかりか、育林コストも大幅に軽減できるのだ。
 山はつねに変化している。手入れ不足の人工林は確実に暗くなり、表土を流し始め、太れないまま枯死や風雪害の危機にさらされている。もしくは土砂流出の危険が近づいている。
 そんな荒廃した山を「旧来の施業法」で手入れしても、すぐに次の手入れの時がやってきてしまう。鋸谷さんの森づくりは、そのような山が息を吹き返すための鮮やかな回答を与えてくれている。(p23)