下草

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 ところで、下草が生えていないということは、日本の山のような急峻な地形にあってはきわめて重大な問題をもっている。雨のたびに土が流されてしまうからだ。森林の表層土は、積もった落ち葉などの腐食物と、たくさんの微生物を宿した大切な部分である。この「表土」は長年の森林の循環の中で、さまざまな植物や昆虫、動物、微生物が集結してつくり上げたもので、木が生長するための養分としても欠かせない。
 下草が生えていれば、あるいは落ち葉が厚く堆積していれば、この表土は簡単に流れることはない。しかし、下草が生えていない状態では雨が直接地面を叩き、降雨のたびに流されていく。しかも広範に人工林の荒廃が進んだ場合、表土は容易に補給されない。(p15)