慎重な選木、簡単な伐倒

『図解 これならできる山づくり』鋸谷茂 大内正伸

 間伐遅れの山を強度に間伐する鋸谷式は、とにかく伐る本数が多い。本数で五割以上(材積では三割以上)伐ることになる。前に金澤さんの山で行なった従来の間伐の倍以上である。(p18)


 選木を終えると一気に伐倒にかかる。ただし、込みすぎて幹が細すぎる林の場合は、強度に間伐すると残した木が風雪害の危険にさらされる。そこで伐るべき木を立ち枯れにする「巻枯らし間伐」を行なう。これによって、木は倒さないけれども、間伐に近い空間が生まれる。残された木は枯れた木に支えられて風雪害を逃れ、ゆっくり太り始めて健全な森に戻っていく(金澤さんの山ではこの「巻枯らし間伐」も併用している)。(p19)


 ところで、伐る本数が多いと作業が大変かというとこれが逆なのだ。なぜなら伐るたびに空間ができ、木が倒れやすくなる。間伐遅れで込みいった林の場合はこの「掛かり木」の処理に難渋することが多い。また、倒しっぱなしでよいから作業も早い。間伐材を出して使うとなると、倒し方にも注意を払わねばならず(材を傷付けず出しやすい方に倒すなど)、倒した後の「枝払い」や「玉切り」「運搬」などはかなりの重労働なのだ。巻枯らしにいたっては倒す作業もないという簡単さだ。(p19)