手入れをすればいい森になる

『花粉症は環境問題である』奥野修司

 スギの人工林でも、それなりに手入れをすればいい森になると前出の石塚さんは言う。
 「間伐をきちんとすると光が入ってきます。雨も下に落ちるようになって、草や広葉樹が生えてきます。すると落ち葉が貯まり、土が流れにくくなって、雨水を溜めやすくなるんです。木はそれほど栄養を必要としませんから、広葉樹が生えても針葉樹には影響しません。そういう人工林は、八〇年、一〇〇年経つと広葉樹で覆われ、天然林のようになるんです。そういうところは、花粉を飛ばしても、広葉樹にさえぎられて、花粉が森の外に飛び出さないんです」
 もっとも、間伐をすると花粉の量が増大することが最近わかったが、そのことについては次章で詳しく述べる。
 それはともかく、人工林の7割がスギやヒノキだったとしても、広葉樹と針葉樹が混ざった植生豊かな複層林なら、たとえ花粉を飛ばしてもこれほどひどくなっていないのかもしれない。
 手入れされていないスギの単純林が大半を占めるという現実が、花粉症を拡大しているのだ。
 二〇〇〇年(平成一二年)の調査では、樹齢31年をこえる人工林は全体の6割だった。実態はわからないが、このうち6割から8割は手入れされていないとされている。つまり、日本のスギ林の半数以上は「緑の砂漠」といわれる荒廃した森なのだ。(p134)