飛行機で種を蒔く

『〈自然〉を生きる』福岡正信

 金光 粘土団子といっても、しかし、種をパラパラと蒔くだけではとてもできないわけですよね。

 福岡 現状が破壊されていまして自然の状態ではないですから、やはりそれにはちょっとしたコツと言えばコツがあります。自分がいま農園で、耕さなくて、肥料をやらなくて、農薬をやらなくて作るためには、粘土団子にした多種多様の種子をばらまけばいいんです。たとえばこういうところに単一の種を蒔いたのでは生えません。ところが粘土団子にして蒔けば生えます。ですから、そういうものを広く蒔いてもらったらいいんです。人海戦術で蒔くか、飛行機のうえから蒔くか、そういうのが一番手っとり早いので、そのテストだけでも早くしてみたいと思っています。(p48)


『自然に還る』福岡正信

 当時、爆撃機で爆弾を播くより、粘土団子の種を播けなどと私のジョークからアフリカなど砂漠の民に種を贈ろうという空気が出て朝日や愛媛の新聞にのると、各地の主婦や子供から、食べた果物や野菜の種が送られてくるようにもなりました。また松山市の村田種苗やサカタ種苗さんの協力などもあり、愛媛の自然派の益田さん等が世話をしてくれて、種の荷造りなども進み、また井谷さんの所に寄せられたカンパも百万円になり、これらを預かってインドにやっと行けたのは、十一月の末でした。(p406)


 種を撒く人になってください
 残念ながら、大人の知恵というか、歴史を作って来た男の知恵というものが加速度的に地球を滅ぼすことに役だって来たということですね。それを少し変えるためには子供の智慧というか無心の智慧ですね、自然の母の心というか、それが人間復活の唯一の道ではないかとおもいます。
 都会の人たちも自然から離れれば離れるほど家庭菜園を作ってみたり自然にかえりたいという気持ちが強くなってくるというのは、その中に本当の智慧とか喜びとか真・善・美というようなものがあるということを女の方が感性的に知っている。男は頭で、人間の幸せとか真・善・美を作らなければいけない、人間の知恵でかえって壊しているということに気がつかなかった。(p467)


 自分の食べたものの一つの種がアフリカに送られると、アフリカの子供はそれを蒔いて、それが山羊に食われないように二日でも三日でも寝ずの番をしています。ひとつのカボチャの種でもそれだけ守られたら、翌年は種は一万倍ということですよ。面積でいうと百倍ずつ広がっていくんだということです。はやと瓜を植えてみると、初めは一株に二、三百しか成らなかったんですよ。この頃は五千個です。稲でも一粒の種が五十本の茎になって、二百粒なると今度は、それが一万粒になるんです。(p468)