自然を生かす研究

『〈自然〉を生きる』福岡正信

 金光 『わら一本の革命』などを読みますと、何もしなくていいというところが非常に強く目につきます。ところが、何もしなくていい、種だけ蒔けばいいのかと思ったら、やはり現実にはいろいろな生きものがいて種なんかを食べますから、それなりの防御策はしなければいけないんですね。

 福岡 科学農法が自然を滅ぼしているでしょう。だから、いままでの科学農法ではない、科学を否定する科学を理論的に打ち立てなければいけないんです。いままで人間は悪いことをして地球を滅ぼしているんだから、自然が死んでしまっているような状態ですから、地球を元に戻すきっかけまではつくっておいてやらないといけません。
 アメリカの土は死んでいます。ヨーロッパでも、ギリシャでも、イラン、イラクでも、地上一メートルは緑があるように見えるけれど、下は死んでいます。これを生き返らせたら、あとは自然がやってくれるけど、そこまでは徹底的にやらなければいけません。
 ぼくはいままでの農学をいらんと言っているわけではないんです。農学者にはいままでと反対の自然を生かす研究をしてもらわなければいけないと言っているんです。いままでやっていたのは自然を殺す、反自然的な技術だけです。(p175)