日本人は何を食べるべきか

『自然農法 わら一本の革命』福岡正信

 極限すると、農林省の役人は、ただ一つのことを知る努力をすればいいと思うんです。それは、日本人は何を食べるべきかということです。この一つのことを、追究し、何を日本では作るかということを決定すれば、それでほとんど事足りると、私は思うんです。池田元首相は、”貧乏人は麦を食え”という名言を吐いて、だいぶ問題になりましたが、あれを”日本人は麦飯を食え”と言ったんだったら、これはすばらしい発言だったんじゃないかと、私は思うんです。とにかく、何を食べるべきかということを決定せずにですね、豪州の方から、牛や馬の肉を入れるのに、どうしたらいいか、とか、あるいは、アメリカのフルーツを輸入するとかしないとか、こういうふうな問題をさかんに論ずる。何を食べたらいいのかがわからないからですね、何でも遠いところから運んでくる。魚をとりつくしてですね、深海の魚を入れる。あるいは、南方の海の方から、エビやカニをとってきて食べる、というようなことをやって、四苦八苦してるわけなんですけれども、本当に、人間は何を食べなきゃいけないか。それにまた、何を食べれば十分なのか。また、それで、どれだけ喜びというか、食物からくる楽しさというものが最高になるのかと、そういうふうな、食の種類、味、人間の食からくる喜びというものはいったい何であるか、ということを徹底的に追究していくのが、農政をあずかる者の最初の仕事であるし、それが、最後の仕事でもあると思うんです。(p130)