雨は下から降る

『自然農法 わら一本の革命』福岡正信

 「自分は、サンフランシスコから、ここへ来るまでの景色を目を皿のようにして見ていたけれど、サンフランシスコをちょっと離れるとすぐに褐色が始まる。砂漠化してゆく過程がよく現われている。そして、サクラメントの町へ入ったとたん、また緑の木が一面に生えている。草花が植えられていたり、サボテンが植えられたりして、緑になっている。こういう緑を見ると、全く砂漠の中のオアシスという感じがする。サクラメントも美しい町だが、しかしこれは作られた人工的な緑だという感じがする。ところで、サクラメントは昔から、こういうふうな緑の所であったのか」
 と、話をしながら、いろいろ聞いてみますと、
 「いや、そうではなかったかも知れない。その証拠に、サクラメントには、こんな家が二、三軒ある」
 という話が出た。あとで、その家へ案内してもらいましたが、二階へ直接入るような階段がある。洪水で、水が引かないから、直接、上へ入ったという。あの砂漠の中のサクラメントの町が、二百年、三百年前に、そんなに水が出ていたということが、証拠として残っているわけなんです。
 雨が降らないのが大陸的気候だ、と盛んに言われるんです。気象学から言えば、雨は上から降るかも知れないけど、哲学的に言えば、雨は下から降るもんだと自分は思う、と言ったんです。下が緑になれば、そこに水蒸気がわいて雲がわいて、雨が降るんだ、と。(p234)