エンドレスエンド

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清

 紫式部は、言いさし表現、作品レベルの言語表現としてはエンドレスエンドとでも称すべき表現技法を、『源氏物語』の最後の巻、「夢浮橋」で実行した。
 優柔不断な薫大将と情熱的ではあるが浮薄な匂宮との板挟みにあった『源氏物語』最後のヒロイン・浮舟は、自殺未遂の傷心の身を癒すために、小野の里でひっそりと隠棲している。
 そこに、弟・小君が訪れる。彼の手には、薫大将の謝罪と、やりなおそうという勧誘を含んだ手紙が託されている。
 浮舟は、人ちがいであると言って、受け取りを拒否し、手紙を読もうともしない。(p20)