階級問題

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清

 薫大将、匂宮の二人も無自覚・無神経な身分差別者である。彼らのなすこと、すること、思うことのすべてが身分差別なのだ。浮舟は、この無自覚・無神経な身分差別により、ずたずたに斬り苛まれ、生きる意欲を喪失している。
 浮舟物語における不倫譚は、藤壺物語、女三の宮物語の不倫譚とは異質のものである。後者の二つは政略結婚を撃つためのものであったが、浮舟物語の不倫譚は、身分差別社会を痛撃するためのものであったのだ。(p165)