宮仕え

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清

 清少納言は、「宮仕へ」を積極的に勧めている。……
 これに対して、紫式部は、次に引用する部分からも十分に想像されるように、宮仕え生活に違和感を覚え、宮仕えを始めてわずか数日で実家に里下りしている。……
 宮仕え生活三年目に入ろうとしたとき、その生活にすっかり馴染んでしまっている自分に気づき、紫式部は愕然とする。楽しそうな、若い女房たちのおしゃべりに囲まれながら、紫式部は孤独の悲風が胸中を吹き抜けてゆく音を聞いている。
 紫式部は、このような自分を『源氏物語』の浮舟の人物像に色濃く反映させている。(p248)