右翼

『決定版 三島由紀夫全集40』

 現代における右翼と左翼  林房雄

 三島 いろいろな問題がありますけれども、ライト・ウイングというのは、ヨーロッパをちょこちょこ歩いて、だんだんわかったことは、向こうで右翼というと、すなわちアンチ・セミティズム――反ユダヤ主義。日本人が行って、おれは右翼だと言ったとします。おまえユダヤ人反対だな、こう言われちゃうわけですね。アメリカの右翼というのはまたちょっと違う。
 それから安倍公房がソビエトへ行ったときに、やはり反ユダヤ主義の人たちと会ったそうですが、この人たちが、日本でもユダヤ人問題はたいへんだろう、と言うんですってね。日本にはユダヤ人はいないと言ったら、そんなばかなことがあるもんか、世界中どこの国でもユダヤ人が忍び込んで悪いことをする、というんですってね。ソビエト反ユダヤ主義といったらたいへんですから。チェコ問題も反ユダヤ主義を背景におかないとよくわからないといわれる。(p567)