自由に対する幻滅

『文化防衛論』三島由紀夫

 学生とのティーチ・イン

 三島 我々は現実に自由というものがどんなものか多少味わった。二十年間、皆さんもいろいろ不服があるだろうが、この中で自由というものはどういうものか味わった。そして自由の先に何があるのか、我々が自由の中にどれだけ幻滅してきたか、どれだけ自由ということに苦しんできたか、その先に新しい政治形態を模索しなければ何事も始まらない。我々は技術化と都市化、新しい工業化の時代に生きてきて、その中で自由というもののいい面もであるが、非常に悪い面もいっぱい自分のからだで味わってきた。その苦しみの中から何か捕獲していくことが、それこそ何ものかであるだろうが、しかし、今そういうことをいっている人達は、自分で苦労したことない人がそういうことをいっている。(p287)