革命の古典的なイメージ

『文化防衛論』三島由紀夫

 学生とのティーチ・イン

 三島 どうも私の中には古典的なイメージがあって、そして革命というものは何だろうか。まあ権力をひっくり返す大本であります。その中で革命が成功する条件とは何だろうか。私は大まかにいって、理性的要素と、情緒的――エモーショナルな要素とが非常にぴったりくっついて、これに軍事力が加味された時に成功するというふうに考えております。
 これを簡単に申しますと、もしここに非常に飢えた民衆がいる。今日食べるお米もない。そして、放っておいたら死んでしまうというような貧窮のどん底にある。その貧窮の原因があくまでも社会階級の搾取によることがはっきりしている。そして、その革命の起るべき社会が矛盾に満ち、しかも社会の矛盾のみならず、あらゆるものが矛盾に満ちて、論理が通っていない。そして人間の根本的ないくつかの理性的な要求が満足されていない。つまり、おなかが空いた人が御飯を食べたいというのは、本能的要求であると同時に、当然の理性的な要求も伴っている。それがフランス革命の自由・平等・平和の一つの思想的な要素であります。(p187)