小事の思案

葉隠入門』三島由紀夫

 常朝が言っている「小事の思案は重くすべし。」というのは、アリの穴から堤防が崩れるように、日常坐臥の小さな理論、小さな思想を重んじたことと考えられる。それが現代のようにイデオロギーのみが重んじられて、日常生活の瑣末のしきたりが軽んじられている、倒錯した時代に対するよい教訓なのである。 (p48)