神風連と恋愛の情熱

奔馬 豊穣の海(ニ)』三島由紀夫

 さて、『神風連史話』の読後感に話を戻しますと、現在三十八歳の私は、ふしぎにも、この非合理に貫ぬかれた歴史的事件の抒述に感動を以て接することができたのです。私がすぐ思い起したのは、松枝清顕のことでした。彼の情熱は一女性へ献げられたものにすぎませんでしたが、同じように非合理で、同じように劇烈で、同じように反抗的で、同じように死を以てしか癒やされることのないものでした。(p118)