2018-04-19から1日間の記事一覧

エンドレスエンド

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清治 紫式部は、言いさし表現、作品レベルの言語表現としてはエンドレスエンドとでも称すべき表現技法を、『源氏物語』の最後の巻、「夢浮橋」で実行した。 優柔不断な薫大将と情熱的ではあるが浮薄な匂宮との板挟みにあっ…

藤壺

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清治 八、九歳の幼い光源氏の眼前に、若くて美しく、新しい母が登場する。その人の名は「藤壺」である。 物語を胸をはずませて聞きつづけていた中宮彰子は、ハッとした。いきなりわが名を耳にしたからである。『源氏物語』…

作者・紫式部も『源氏物語』に登場

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清治 本章を閉じるにあたり、呼称法の錯覚用法を使用して、作者・紫式部が『源氏物語』にちょい役、笑われ役として登場する場面を紹介する。…… [「これから久しくお目にかからない間に、この私の姿が今と違って、いやなふう…

かぐや姫

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清治 横川の僧都らの懸命の介抱により蘇生した浮舟を預かったのは、結婚したばかりの娘に急死され悲嘆に暮れていた、横川の僧都の妹尼であった。あたかも、子宝に恵まれず、寂しく思っていた竹取の翁と嫗に養育されたように…

階級問題

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清治 薫大将、匂宮の二人も無自覚・無神経な身分差別者である。彼らのなすこと、すること、思うことのすべてが身分差別なのだ。浮舟は、この無自覚・無神経な身分差別により、ずたずたに斬り苛まれ、生きる意欲を喪失してい…

宮仕え

『「源氏物語」と「枕草子」』小池清治 清少納言は、「宮仕へ」を積極的に勧めている。…… これに対して、紫式部は、次に引用する部分からも十分に想像されるように、宮仕え生活に違和感を覚え、宮仕えを始めてわずか数日で実家に里下りしている。…… 宮仕え生…

定家

『源氏物語ものがたり』島内景二 紫式部が源氏物語を書いてから、あっという間に二百年が経過した。仮に一世代を三十年とすれば、およそ七世代ということになる。最初の四~五世代の読者たちは、自分たちの同時代文学として、ひたすらこの物語を耽読できた。…

やまと言葉

『源氏物語ものがたり』島内景二 源氏物語は、美しい「やまと言葉」で書かれている。外来語である音読みの漢字熟語は、ほとんどない。古い写本を見ても、ほとんどの文字が「平仮名」である。だから、見た目がとても美しい。それだけでなく、音読にも適してい…

物のあわれを知ると知らないとの微妙な違い

『源氏物語玉の小櫛 物のあわれ論』本居宣長 山口志義夫 訳 そもそも人の求愛になびきやすく、浮気っぽいのは、物のあわれを知って情愛があるように見えるが、そうではない。煎じ詰めれば、浮気っぽいのは、実は物のあわれを知らないのである。この人あの人…

玉の小櫛

『源氏物語玉の小櫛 物のあわれ論』本居宣長 山口志義夫 訳 源氏物語を勧善懲悪や戒律の議論から解き放ち、その本質を「物のあわれ」であると捉えた歴史的評論。その後の日本文学に与えた影響は計り知れない。『紫文要領』の最終稿とされる第一巻、二巻を訳…

高原の星空

『本居宣長(上)』小林秀雄 新潮文庫 「源氏物語」、特にその「後篇たる宇治十帖の如きは、形式も描写も心理の洞察も、欧洲近代の小説に酷似し、千年前の日本にこういう作品の現われたことは、世界文学史の上に於て驚嘆すべきことである」。これは、昭和九年…

嫁入り道具

『決定版 人物日本史』渡部昇一 家康でもう一つ面白いのは、『源氏物語』を四回ぐらい講義させていることである。(p251) そのため江戸時代には『源氏物語』は金持ちや大名のお姫様の嫁入り道具として持っていくようなものになったのである。それ以外にも源…

物語

『誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ』林真理子 山本淳子 『源氏物語』は、タイトル通り「物語」というジャンルに属する作品である。だが、その中の別格でもある。 平安時代、「物語」はいわゆる女子どもの暇つぶしのための娯楽とされていた。…

晩年

『紫式部日記』山本淳子 訳注 角川ソフィア文庫 寛弘八(一〇一一)年五月、一条天皇は病に倒れ、六月二十二日に三十二歳の若さで崩御した。後継は彰子が産んだ敦成親王と決まった。紫式部は彰子と共に内裏を去った。…… そうとすれば、紫式部は彰子の長男敦成…

中宮彰子

『紫式部日記』山本淳子 訳注 角川ソフィア文庫 紫式部は出仕によって、『源氏物語』の舞台である宮廷生活の実際に触れ、物語を書き続ける上での経済的支援も受けることができるようになった。だが最大の利点は、言葉を交わすことはもちろん会ったこともなか…

不思議なほどすらすら分かる

『紫式部日記』山本淳子 訳注 角川ソフィア文庫 うちの式部の丞と申します者が、まだ子供で漢籍を朗読しておりました時、私はいつもそれを聞いては、弟は暗唱するのに時間がかかったり忘れてしまったりいたしました所も、不思議なほどすらすら分かったのです…