2018-02-28から1日間の記事一覧

偽善の文化

『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 三島 イギリスなんか偽善の立派な伝統がある。この間、イギリス人と冗談を言って笑っていたんです。「三島、おまえはトラディショナリストだろう」、「そうだ」、「おまえは偽善を嫌う」とイギリス人は言うでしょう。…

原爆碑を爆破せよ

『決定版 三島由紀夫全集40』 刺客と組長――男の盟約 鶴田浩二 三島 そこでぼくがあなたに聞きたいのは、「わだつみの像」の彫刻が全学連にぶっつぶされて、オレは喜んでいるんだ。あなたの考えとオレの考えと、どこが違うか確かめてみたい。ぼくの考えをいう…

ことばの機能

『決定版 三島由紀夫全集40』 対談・人間と文学 中村光夫 ことばというものは終わらせる機能しかない。はじめる機能などありはしない。表現されたときに何かが終わっちゃう。その覚悟がなかったら芸術家は表現しなければいい。一刻一刻に過ぎてゆくのをだれ…

自己犠牲

『決定版 三島由紀夫全集40』 守るべきものの価値――われわれは何を選択するか 石原慎太郎 三島 しかしぼくはやはりサクリファイスということを考えるね。一番自分が大事に思っているものは大事じゃないんだ、と。 石原 じゃ同じことを言っているわけです。ぼ…

文化の全体性

『決定版 三島由紀夫全集40』 守るべきものの価値――われわれは何を選択するか 石原慎太郎 三島 それじゃアメリカの民主主義ははたして日本の文化の全体を保証したかというと、たとえば占領軍が来て一番初めに禁止したのは、「忠臣蔵」ですね。歌舞伎の復讐劇…

テロリズム

『行動学入門』三島由紀夫 一九六九年の一〇・二一のデモには、またしてもデモ狂の私はヘルメットをかぶって夕方から新宿へ出かけた。 一九六八年の一〇・二一と比べると新宿東口の規制は激しく、東口のまわりにおそろしいモッブを形成した群集の影も形もな…

国家のエゴイズムを押へるには

『若きサムライのために』三島由紀夫 三島 それは何かといふと、没我の精神で、ぼくにとつては、国家的エゴイズムを掣肘するファクターだ。現在は、個人的エゴイズムの原理で国民全体が動いてゐるときに、つまり反エゴイズムの代表として皇室はすべきことが…

プラトニズムの堕落

『若きサムライのために』三島由紀夫 アメリカの社会は必ずしもギリシャ精神の復興ではないが、極度に肉体主義の世界である。アメリカの社長は、何フィート以上の背たけがないと社長の資格がないとされるばかりか、大学生も歯並びの汚いことが社会人として非…

弱さの表白

『決定版 三島由紀夫全集34』 推薦者のことば(「大江健三郎全作品」) 太宰治氏以来、久しく、一つの「時代病」を創始した作家が現はれなかつたが、大江健三郎氏にいたつて、はじめて日本の現代は、その「時代病」を発見した。そして氏は、多数の時代病患者を…

近代的旧慣

『決定版 三島由紀夫全集34』 谷崎氏は日本古典を愛しつつ、一方、小説家として少しも旧慣にとらはれない天才であつた。この相反するかのごとく見える二つの特性は、日本の近代文学史の歪みの是正にもつとも役立つた。なぜなら日本の近代小説は、日本古典の…

欺瞞がうまくいった時代

『源泉の感情』三島由紀夫 野坂昭如 エロチシズムと国家権力 三島由紀夫 三島 僕は今でも吉田茂は偉い人だと思うけど、明治以後の日本の歴史で、あんなに日本人の欺瞞をうまく成功させたのは、あの人だけでしょう。それはどこから学んだかというと、イギリス…

古ぼけた大正教養主義

『決定版 三島由紀夫全集36』 劇画における若者論 ただ、世の中といふのは困ったもので、劇画に飽きた若者が、そろそろいはゆる「教養」がほしくなつてきたとき、与へられる教養といふものが、又しても古ぼけた大正教養主義のヒューマニズムやコスモポリタニ…

保守側の知識人

『決定版 三島由紀夫全集36』 新知識人論 日本近代知識人は、最初からナショナルな基盤から自分を切り離す傾向にあつたから、根底的にデラシネ(根無し草)であり、大学アカデミズムや出版資本に寄生し、一方ではその無用性に自立の根拠を置きながら、一方では…