木村秋則と自然栽培の世界』木村秋則 責任編集

 熊田 古代の人が畝を立てるということを発見した。これは発明だったと思う。今は当たり前の常識になってしまっているけど。

 木村 それをまとめると、作物の特性を「どうやって生かすか」ということ。

 熊田 そのための手段として畑は平らがいいのか、くぼめた方がいいのか、高畝にした方がいいのか。その判断になる。畝の高低はどのような植物を育てるかで決まる。

 木村 シシトウをやるときはくぼめたほうがいい。畝が低くて土の湿気が多いとやたらに辛いシシトウはできない。(p33)

広告を非表示にする

ホタルが復活した

木村秋則と自然栽培の世界』木村秋則 責任編集

 有機栽培でホタルが復活しました。それまではホタルはいませんでした。自然栽培4年目、有機栽培を始めて10年。ようやく周辺にホタルが舞うようになって、3年前から子ども会で披露しています。6月20日ころから6月いっぱいは源氏ボタル、7月になった途端に平家ボタルです。メダカを増やすことに協力してくれている同期の伊藤丈夫さんも、「この辺にいるとは思わなかった。こんなに大きいホタルとは」と驚いています。(長沼太一)(p138)

山の土には窒素、リン酸、カリはほとんどない

『リンゴが教えてくれたこと』木村秋則

 山の土というのは窒素、リン酸、カリがほとんどありません。それなのにあれほど草木が元気に育ちます。
 ということは科学の常識が実は違うのではないのか、という疑問が生じます。要は根が這って行きやすい、酸素が入っている土をつくってやればいいのではないかと思うのです。(p161)

自然栽培で減反は不要

『リンゴが教えてくれたこと』木村秋則

 米の収量は肥料、農薬、除草剤を使ったから増えました。これは間違いありませんが、これからはみな私のような自然栽培をやればちょうどいいのではと思います。反収七俵取れれば十分です。減反などで三割は余っているのですから。それ以上取ろうとしなければだれにでもできる栽培です。腹八分と言いますが、七分で足ります。十アール当たり日本の農家が七俵生産すれば、減反政策は不要になります。農水省は頭を悩ませなくて済むのです。(p192)

自家採取

『自然栽培ひとすじに』木村秋則

 次に種子について。最良なのは、自分の畑で栽培した作物から自家採取した種子を用いることです。そこで生長した植物が、花を咲かせて種を実らせ、それが周辺の土の上に落ちてまた発芽する。F1種ではばらつきが出るため種取りは避けますが、こうしたサイクルは自然のなかでの営みそのものであって、この循環を繰り返すことにより、しだいに作物も土壌も互いの条件がより適合した関係になっていきます。
 購入した種子を使う場合は、遺伝子を操作して品種改良したものをできるだけ避けること。それと肥料や農薬で表面をコーティングした種子は用いないことです。後者を用いると、発芽した後にアブラムシなどの害虫の発生が多くなります。自然栽培では、新たに開発された品種よりも、在来品種を選択したほうが大抵うまくいきます。(p115)

自然栽培に適さない品種もある

『自然栽培ひとすじに』木村秋則

 りんごに限らず、今日の作物は高度に品種改良が進んでいますから、なかにはこの北斗のように虚弱なものも少なくありません。自然栽培に適した品種、適さない品種というものはやはり存在していて、取り組む際には注意が必要となります。私は、昔からその土地でつくられてきた在来品種なら、まず問題なく自然栽培が可能と考えております。(p80)

イネの生長

『自然栽培ひとすじに』木村秋則

 自然栽培でのイネの生長には、慣行農法と異なる特徴があります。田植えの後、約2ヵ月間の生長が非常に遅いのです。この頃に、他の田んぼと比べるとあまりに小さく背の低いイネの姿にがっかりするかもしれません。ある意味、自然栽培の成否の分かれ道は、ここで人間側が我慢できるかどうかにあるともいえるでしょう。
 小さくみすぼらしいのは地上部に限ってのことであって、地下部、すなわち根はこの時期、どんどん伸びているのです。そして気温が上昇し、8月の出穂を迎える頃になると、遅れていた地上部が一気に伸びはじめ、たちまち普通のイネとさほど遜色ないまでに生長するのです。(p110)